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トウマくん
「悠乃くんは優秀だねえ、一度おしえたらおぼえてしまう」
モース博士が浮遊バイクで品物の点検をしながら言ってきた。
「まあ、暗記とか暗算とか得意なほうです」
「というか、院生になる筈だったんだろ?かなりのものだよ。
それで長身イケメンって、完璧過ぎて腹立つよね」
「いえ、実は料理がまったく作れないんです」
「そりゃホッとした」
「ホッとしないでくださいよ」
セラピストアに勤めて三ヶ月になった。
製品の銘柄や種類別の分類もできるようになってきたし、勤務時間も
18時までと、一気に伸びた。
そして食事ができるようになってから、動きやすくなっている。
「とはいえ、まだ半分もおぼえきれてませんよ。
それから、上の品が見れなくてすみません」
高いところは、まだ恐ろしさがあった。
「いやいや、のんびりやっていこう」
「はい」
「のんびりしてる場合じゃないーっ!!」
突如として声が響いてきた。
店の外に出ると、茶色い小さな物体が駆けてくるのが見えた。
小馬のトウマくんだった。
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