トウマくん

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隣の町に五階建てくらいの高さの塔があるそうだ。 その塔を鉄筋の梯子で上ると、てっぺんに装置があって、そこでクイズが 出題される。 そのクイズ二問を解くと、どんな願いでも叶えてくれる魔法の力が 発動されるらしい。 しかしこれには法則があって、二人で塔を登り、一人ずつクイズを解く。 一人や複数ではダメとなっている。 便利なのだが、このクイズが超難関で、正解者がほとんど無い。 だから、利用しようとする者が、ほとんどいないとのこと。 「悠乃くんは頭脳明晰だから、挑戦してみたら?」 モース博士が薬草の束を運びながら言ってきた。 「いや、自信は無いですし、しかも、高いところ......ですよね」 薬草を種類別に紐で縛りながら言った。 「悠乃さん、どうしてもダメですか? ボクは足が短いので梯子が登れません。手助けが必要なんです」 「悠乃くん、してあげなさい。その長い手足を生かして」 「でも......」 「悠乃さん、お願いします!お礼は必ずしますから!」 「悠乃くん、精神安定剤は飲ませてあげるよ。 少しずつでいいから、やってみなさいよ」 「でも......」 トウマくんが頭をひねって考えるポーズをしてから、言ってきた。 「モース博士、悠乃さんを連れて行きたいところがあります。 少しのあいだ、かまいませんか?」
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