トウマくん

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モース博士の許可を得て、僕はトウマくんに連れられて街に向かった。 「へえ、僕の住む世界の洋風バージョンだ。 活気づいてるし、品物が豊富だし、良い雰囲気の街だね」 通りを歩く人々は笑顔で言葉を交わし合い、商人たちが威勢のいい声で 名物の名を連呼する。 「はい、とても平和な街です。だけどね、とても悲しいこともあります」 「え?」 「様々な事情で親を亡くした子供たちです。 着きました、ここです」 「ここ?」 見た目は寄宿舎学校のようだった。 「ここは、児童保護施設です。ここに住んで学んでいます」 「そんな気の毒なところもあるんだね......でも」 でも、子供たちの元気な声が聞こえてくる。 「今日は、アリーア姫が訪問して、子供たちと遊んでるんです」 「えぇっ?」 校門をくぐって中に入ると、アリーア姫がドレス姿ではなく、薄紫の ワンピースにフラットな靴を履いて、子供たちとボール遊びをして 走り回っていた。 目に痛いほどのまばゆさだった。
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