悠乃優也

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「とりあえず湯舟に浸かれ、シャワーだけなんだろ?」 赤月に言われるがまま、バスルームで浴槽を湯で満たした。 そのときだった。 「ぷっ」 と、声がした。 湯舟の中から黒く小さな物体が出てきた。 それは犬だった。 犬は短い手足で泳ごうとするけれど沈んでしまった。 僕は慌てて湯舟に手を突っ込んで救いあげた。 プルプルと身体を震わせて水しぶきが飛んできた。 「君、なに?」 「おぉぅん.....」 と、僕より困った顔になってみつめてきた。 そのとき。 『すみませーん、そちらに黒い犬は行ってませんか?』 と、穏やかな男性の声が聞こえてきた。 「え?」 『首輪、犬の首輪が通信機になってるんです』 よくみると、確かに首輪が付いていた。
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