いい日か悪い日か

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いい日か悪い日か

 早起きをして今日はバスで行くことにした。  バス停に行くとまたあの大きな傘が目の前に。  まさかと思ったらまたあの彼だ。 「あれ?」 「あ、どうも…。」 「あ、そうか、今日は2月3日だったね。」  彼がこの日を覚えててくれた。 「俺は雨男だから。きっと今日もいい日になるよ…」 「え?」 「雨の日だって、いい事もあるってこと。」 「ははは。でも今日もやっぱり雨からのこの雪だし。最悪。 今日、頑張れるかな…。」 「午後から雪は雨に変わるし、夕方にはやむから。雨はそのうち上がるんだよ?  君にこうして会えたし頑張ってって言えたから。俺は今日いい日になった。」 「え…?」  そんな風に言われたら、なんか勘違いしちゃいそうだ。  どこの誰かもわからない彼のこと…。 「あのさ…。ずっと聞きたかったんだけど。前、同じバスに乗った日、君を見かけた気がするけど、気のせいかな。」 「え?」 「あの日、大学のアリーナでビーチバレーしたんだけど、君を見かけたような気がしたんだ。なんてね。やっぱりそんなの気のせいか…。」  少し照れたような笑顔で彼がそう言った。  え?うそ…。じゃあ、やっぱりあれは…。そう言おうとしたら。  また急に降りだした。湿った雪は大きなみぞれになってる。 「あ、バス来た!」  あわてて二人でバスに乗り込む。バスに乗り込みながら振り返った彼が私に言った。 「きっと頑張れるよ。 いいこともある。  だって俺は雨男だから。雨の日はいつもいいことがあるからね。」  また彼は前の方の席に1人で座った。私はいつものように一番後ろの端の席に座り、参考書とにらめっこ。駅に着くまで単語を何度も見直した。  また駅に着くと彼の姿はなかった。
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