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また会った
次の日の朝。雲行きが怪しい。
まあ、梅雨だし?こんなことは想定内だ。だけどカッパは着てこなかった。
コンビニに差し掛かった辺りで突然の雨。
うわー、今日も最悪。
カッパ着てこようか迷ったけど、着てこなかった日に限ってこうして雨に見舞われるんだ。
仕方なくコンビニに寄って自転車を停め、入り口の屋根の下で籠をあさりカッパを着込んでいると、赤いタオルが目に入った。
目の前にあの彼…。
「あれ?」
「あ。どうも…。」
「また会ったね。」
「また降ってきちゃいましたね。
ほんと最悪。やっぱり雨女だ。」
「ほんとだね。俺も雨男。だけどやっぱり今日もいい事あった。」
「え?」
「ほら。またこうして会えたし。」
途端に顔が熱くなる。カッパを着たせいかな。
「じゃあ、急ぐんで!さよなら…。」
「あ、ちょっと…。」
後ろから声が聞こえた時にはもう自転車で走り出してた。
今、なんか言おうとしてた?
ビックリしすぎて意味もなく急いでその場を後にした。
あれから数週間、雨が続いた。
毎日が蒸し暑さとの闘い。
蒸れるし暑いしほんと嫌になっちゃう。
あれから彼の姿も見かけてない。
もしかしてすれ違ってたかもしれないけどお互いにカッパじゃわからないし。
ようやく梅雨が開けたらもう、明日から夏休みだ。
しばらく自転車にも乗らないし、明日から塾通いだ。
今年の夏は勝負の夏。
今から気が重い。
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