また会った

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 毎日夕方まで家に籠って勉強して。夜になると車で送られ塾に向かう。同じ日々の繰り返しであっという間に夏が過ぎた。  夏休みの間に第二希望の大学のオープンキャンパスに足を運び、体験授業に参加したけど。やっぱり第一希望のあの学校がいい。  滑り止めは少し余裕を持たせて合格ラインのところにしたけれど、いざ行くとなると全然自分が行くイメージがわかない。  夏が終われば推薦入試が始まる。推薦で落ちてもその後一般入試で頑張るつもりだ。頼みの綱の共通テストも最後まで諦めない。  私の運命が今年で決まる。  大学がゴールじゃないなんて先生は言うけれど。私にとっては今のところそこがゴールだ。その先なんかまだ全然見えてこないし。  推薦入学の日。  夕方から大雨に見舞われ夕立が私を襲った。ほらね…。やっぱり今日も雨だ。  小論文と面接と。  いまいち将来の事がまだ見えない私の小論文は、コレと言う決め手がなく、言いたい事の核となるものがみつからなかった。  雨だったし。なんか嫌な予感。  結果は予想通り、不合格だった。  またそれをわたしは雨のせいにした。  雨のせいなんかじゃないのはわかってる。だけどつい、雨女の私はいつも何かあると、雨のせいにしたがる。  ガックリと項垂れて自転車で学校に向かう。  先生には電話で不合格の報告をして連絡を済ませた。顔を合わせたら何て言おう…。  落ち込んでいると信号のところで久しぶりに見覚えのある後ろ姿。  あ。あの彼だ。今日は久しぶりに見れたし、いい日かな。  すると、不意に彼が振り返った。 「あ。随分と久しぶりだね。元気だった?」 「はい。」 「なんだか元気ないね。」 「うん、ちょっと残念なことがあって。また雨だったし最悪。」 「そっか。でも、雨はいつか上がるから。やまない雨はないって言うじゃん?」 「うん。2月3日は雨、降らないといいなぁ。」 「雨女だもんね。だけど俺が雨男だからいいことだってあるかもよ? 俺はそう考えるようにしてる。」 「そう思えたらいいんだけど。雨でいい日だったためしがない。」
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