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真実
ロザリアは声を出すことすらできなかった。
理解が追いつかない。
自分が本当は姫であり、父と母から捨てられたこと。
母だと思っていた人は本当の母ではなかったこと。
なぜ、なぜ、なぜ。
それだけがロザリアの頭の中をぐるぐる回っている。
「だけどね、ロザリア。母さんはあなたのことを
本当の娘だと思っているわ」
優しく手を伸ばしてきた母の手を
思わず振り払ってしまう。
「あ、ご、ごめん、なさ、い」
涙が次から次へと溢れ出て止まらなかった。
なぜ、私は黒を纏って生まれたのだろう。
ひたすら自分が憎くてたまらなかった。
リアと本当の親子ならば良かったのに。
慰められながらもそんな黒い思いが胸に渦巻く。
ロザリアは母の胸に縋りついて泣いた。
リアは娘と同じく涙を流して可哀想な娘を
抱きしめた。
どうして、娘がこんな目に
遭わなければいけないのだろうか。
いっそのこと、全て話さなければ
良かったのではないか。
しかし時は戻せない。
リアはロザリアの頭を優しく撫でた。
一部始終を聞いていた人物がいることに気づかずに。
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