初恋

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初恋

あれから、三年経ちロザリアは 綺麗な少女へと成長していた。 この国では黒髪黒眼も珍しくなく ロザリアが住んでいた王国ほど 忌み嫌われてはいなかった。 町でも取り合いになるほどの美貌の持ち主だ。 「おはようロザリア」 この国に移り住んですぐ 仲良くなった少年、レアンがにっこり笑う。 レアンはロザリアが黒薔薇姫と 呼ばれていたことを知っている。 なぜなら、レアンは商人の息子で 国を跨ぎ父についていくこともあったからである。 そのときに新聞を見たのだという。 レアンとはこの国に来てから最初に出会った。 ロザリアのことを知ってもなお そんなこと気にしないよと笑ってくれた。 「おはよう、レアン」 ロザリアはリアに頼まれてパンを買いに来ていた。 レアンもついていくというので話しながら歩く。 この何気ない時間がロザリアは好きだった。 レアンと一緒にいると時間を忘れて話に夢中になる。 レアンの笑う顔がロザリアは好きだった。 帰ってからリアに話すとリアは嬉しそうに微笑んだ。 「ロザリアはレアンが好きなのね」 思いがけない言葉だった。 私が、レアンを? そんなはずは… でも、レアンの笑顔を思い出すと胸が暖かくなるの。 胸の鼓動が早まるのも感じる。 あぁ、私はレアンが好きなんだわ。 これが、ロザリアの初恋だった。
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