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こんな私を
気づくと木でできた小屋の中にいた。
目の前にはアイリスが怒りを
滲ませた顔で立っている。
「お、お母様……」
「お母様だなんて言わないで」
ロザリアはショックを受けた。
フレデリックは本当はロザリアを
受け入れてくれていた。
だからアイリスもそうだと勘違いしていた。
「ごめんなさい…」
「フレデリックはロザリアは死んだって言ってたけど嘘だったのね。噂を聞いて来てみれば…
あんたなんか、産まなければ良かった!!
あんたが生きている限りわたしは
安心できないのよ!!早く死んでよ!魔女の子!」
その瞳には恐怖と嫌悪が滲んでいる。
それを見て、ロザリアはやっぱり自分は
幸せになってはいけないのだと思い込まされた。
何も言えなかった。
ただ涙を流すだけしかできない。
「何も言えないわよね。わたしが産んだのだから、
責任を持ってわたしが殺さなければね」
アイリスが剣を振りかぶる。
「何をしてる!」
小屋の扉が勢いよく開いたので見ると
レアンが傷だらけで立っていた。
周りにはアイリスが連れていた影たちが倒れていた。
「逃げるぞ!ロザリア!」
あぁ、こんな私をレアンは助けてくれるのだ。
ごめんなさい、お母様。
私はまだ生きていたい。
「お母様…ごめんなさい。
私はまだ生きていたい。
こんな私を産んでくれてありがとう」
さようなら。
ロザリアはレアンの手を取り森の中へ消えていった。
アイリスは自分が
涙を流していることに気づき驚いた。
手も震えている。
「なんで、わたし、泣いて……」
その答えはすぐに導き出されることになる。
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