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忌み子
「ごめんなさい、フレデリック様
こんな気味の悪い子を産んでしまって」
王妃はさめざめと涙を流し生まれたばかりの我が子を
の頰を涙で濡らした。
この王国では、黒い髪と黒い瞳を持つ者は
気味が悪い、不吉の象徴だと言われていた。
なぜなら、昔 黒い髪と黒い瞳を持つ魔女が
王国の民を呪い殺したからだという。
その話は何の信憑性もない伝承、御伽話。
だが、時代を越え長年染みついた思想は
変えることはできない。
国王や王妃でさえそうなのだから。
赤子は黒髪だった。
きっと、まだ開かない目も黒いに違いない。
国王フレデリックは、いかつい顔をさらに歪ませた。
「これは我の子ではない」
フレデリックは赤子を離宮で育てるように
使用人に言いつけ、
存在を秘匿するようにと命じた。
国民に混乱が起きるからだ。
王妃であるアイリスは我が子を憎んだ。
待ち望んだ子なのに、魔女と同じ黒い色を持ち
しかも、王位を継げない女児だったのだ。
アイリスは子を愛することができず、
離宮に赴くことはなかった。
姫は乳母リアによってロザリアと名付けられ
実の親子のように愛されて育った。
だが、ロザリアは真実を知ることになる。
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