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そんな日が…いつか来ると…思っていた。
いつもの様に帰宅すると、相変わらず…散らかし放題。
クタクタの身体に、やるせ無い想いで片付けして、食事を作っていた。
相変わらず何一つ協力してくれない夫。
慌てて夕飯を作りながら洗濯機を操作している時、テレビを観て大笑いしている夫。
子どもも一緒にそれを観て笑っていた。
《親子して…どうやったらこう、似るんだか…》
不満はあったが、いつもの事と割り切っていた。
「おい!!いつになったらメシ出来んの?」
その一言に《カチン》と来た。
「そんなに言うんなら、ここにある空き缶ぐらい、自分で潰すなり…したら良いじゃない。」
「それは、妻の仕事だろ?」
その一言が追い討ちとなって、香織を怒らせた。
「はぁ!?妻の仕事!?アンタ達、いい加減にしてくれる…。」
疲れ果てた顔は無表情となり、台所にあった包丁を手にした香織。
「何でもかんでも、こっちにさせて!!良い気になって!!何様のつもり!!」
包丁片手にゆっくりと夫と子どもの視界に入った。
「…お、おい。ちょ、ちょっと落ち着けよ。」
「…落ち着け?落ち着いてるよ。アンタのお手伝いさんじゃないんだよ!!こっちも働いて、帰って来てまでアンタ達の面倒まで!!いい加減、ウンザリ!!」
「…わ、わ、悪かった。済まない。」
「何が妻の仕事よ。そこでのんびり寝てテレビ観てワガママ言ってるデカいガキのくせに!!」
一緒に笑っていた子どもも黙ってしまった。
「子どもはね…親の背中見て育つって言うけど、こんな親じゃ、ロクな大人になりゃしない!!」
「…お、お前!!そこまで言うのか!?」
「ええ!!言わせて貰うわよ!!そんなに食べ物食いたけりゃ、ここにある物なんでも食えば良いわよ!!アンタに何も出来るはず無いんだろうけどね!!」
「おい!!言わせておけば…色々と言いやがって!!」
「何よ!!上等じゃないの!!」
そのやり取りを聞いて、子どもが泣き出した。
「見てみろ!!子どもも泣き出したじゃないか!?」
「黙れ!!どいつもこいつも!!もう…好きにやつまてよ!!」
持っていた包丁をテーブルに置き、バッグ片手に部屋を出て行った。
「もう…やってられない…。なんなのよ。」
気がつけば車を走らせていた。何処に行くとも決めず、とにかく、走らせた。
あんなに言い合いになり、部屋を飛び出したのは…初めての事だった。
全て忘れたい…自分のやって来た事も全て忘れたかった。
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