Woman

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いつもの様に…缶コーヒーと電子タバコ…交互に飲んでは吸う姿の工藤に睨みつける様に近寄った。 「どうしたんですか?そんな怖い顔して(笑)」 その言葉、姿に余裕さえ見せつけられた様な気持ちになった。 「どうしてよ!!」 香織が怒鳴る様に言い、自分の電子タバコを吸い始めた。 「何が…どうして?なんですか?」 「さっきの書類!!あれは、完全に私のミスなのに!!何で工藤君が頭を下げて謝ったの!!」 「あぁ…あれですか?別に良いじゃないですか?」 「良くない!!あれは…。」 言い掛けた香織に缶コーヒーを手渡した。 「とりあえず、飲んで落ち着いたら…どうですか?」 受け取ろうとした瞬間、またプルタブを起こしてから香織に差し出した。 「この前のデザインの時も、そうだったじゃないの…。」 「そんな事もありましたっけ?」 その言葉が余計に香織をイラつかせた。 「自分の事は後回しなの?」 手渡された缶コーヒーを飲み、タバコを吹かせた。 「自分の事は…後回しとか、別にそういうのは考えて無いんで。」 納得の行かない回答に不機嫌な顔で工藤を見ていた。 「どうしてそんなに怒ってるんですか?致命的なミスでも無いんですから。誰にでも起こるミスですよね?」 「そうだけど…あそこまでやらなくても…。」 「名越さんて…案外、周りの目を気にするタイプなんですね?」 「そりゃ、私だって周りの目ってもんは、気にするわよ!!」 「それは…プライドってヤツですか?」 「だったら、悪い?」 「そのプライドで…何が楽しいんですか?」 「…何が楽しいって…。」 「楽しくも無いプライドなんて…クソ喰らえですよ(笑)」 「…何よ…偉そうに。」 「偉そうに見えますか?」 また、あの時と同じだと感じた。 「工藤君っさ…。」 「はい?」 「案外…ズルいんだね?」 「…ズルい?僕がですか?(笑)」 「私を…からかってる?」 「からかってる様に…見えますか?」 自分から罠に掛かってる様な気がしてならなかった。 相変わらず、缶コーヒーとタバコを飲んでは吸う…その姿。 腑に落ちなかった。 「前にも言いましたよね?」 「…何を?」 「名越さんは笑ってた方が…素敵です。」 「…ちょっと…。」 「先に戻ってますね。」 空き缶をゴミ箱に…足早に戻る工藤に悔しかった。
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