第三章 小さな国 三

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「!!!」  ならば、もっとナイフを譲ってもいい。  道原の分もあるので、二本のナイフを渡すと、乗組員が集まってきたので、他の小型ナイフを渡しておいた。 「俺達も貰ってしまっていいのですか!」 「小型だけどな。コレ、便利だ」  主に投げる為に作成していたナイフなので、とても安価だ。しかし、リンゴの皮なら剥ける。 「まず、このナイフ。投げる」 「おおおおお!!!!!」  俺が的を用意して投げて見せると、命中したので驚かせてしまった。 「リンゴの、皮も剥ける」 「おおおおおおおおおおおおお!!!!」  どうして、リンゴの皮を剥いた方が驚かれるのだろう。  そして、リンゴでウサギを作ると、奪い合って食べていた。もしかして、リンゴが貴重だったのだろおうか。 「白の方からの、祝いだ!!!」 「祝い???何だ、それは?????」  祝いというのは何だろう。 「これは、ウサギの形か!!!とても、可愛い!」 「食に困らないという事か???」 「ウサギか!確か、ウサギも冬は白い!!!!凄い!!!!」  俺だって、リンゴでウサギくらいは作れる。  しかし、そんなに歓喜されると微妙な気分になる。 「夏目さん…………」 「俺は何もしていない!そんな、困ったような目で見るな!」  しかし、快く乗船させてくれた。  そして、酒樽を積み込んだ船が、リプロスの港、海都(マリントス)に向けて出港した。 「空都でスカイト、海都でマリントス。言葉が、入り混じっているな……」  夜の海は暗く、本当に黒く見えていた。しかし、今日は快晴だったので、沖に出ると満天の星空が見えた。 「恐らくですが、言葉を理解しているのは夢の中だからで、実際に使用していた言葉は別に存在しているのでしょう」  道原は通訳なので、言葉の文化を研究している。そして、満原の解釈によると、この大陸地図というものも、意識の中なので、形が変わってしまっているという。 「ですが、俺達が行った、現在の城とリンクしています。俺達が知っている場所は、意識では変えられないのでしょう」 「空都の事か?そうだな、記憶にかなり類似していた」  そして、重要な事を言い忘れていた。  俺は、船の先端に行くと前方を確認し、更に左右の状況を確認した。 「道原、俺は泳ぎが得意ではない」 「!!え????」  全く泳げないという訳ではないが、期待できない残念な状態だ。
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