第三章 小さな国 三

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「次」  そして、パターン二では、花火の光を二十倍にしてみた。これは照明弾のようなもので、周囲を照らす。  そして浮かび上がった海を見ていると、今襲ってきたのは一部の者で、他にも多数の筏が囲んでいた事が分かった。 「もう少し、照明弾っぽくしてみるか……」  そして、パターン三では、港に向かって打ち上げるミサイル型にしてみた。 「あ、これでは現在位置を知らせる事ができない!」   これは、作る前に気付くべきだった。 「よし、パターン四」 「花火大会ですか!」  そう言っている間に、海賊が近づいてきていた。  だが、俺と道原の姿を見つけると、何故か手を合わせていた。 「光の元に、白の者。しかも、黒の守護付!!!」 「光を操作しているのは、白の者なのか!!!」  どうも、トラジャにも白というキーワードがあるらしい。  だが、攻撃は別らしく、花火の打ち上げを止めようと切りかかってきたので、飛び蹴りを入れておいた。そして、次に来た海賊には、回し蹴りをしてから、殴り飛ばした。 「パターン五」 「花火は何種類あるのですか!!」  開発していたら楽しくなってしまい、二十種類くらいは作った。そして、組み合わせてみた。  これを、一気に爆発させてしまったら、三発という合図ではなくなってしまう。それに、まるで花火大会になってしまいそうだ。  そして、港からは分かったというように、五発の花火が上がっていた。 「助けには来ないが、他の船の出航が止まった」 「助けには来ないのですか????」  アルパスは、戦闘能力が無いのだ。だから、助けに来る事はない。 「それと、反撃すると殺されます!」 「!そうだな」  俺が、花火に未練を残していると、道原が俺の肩を叩いていた。 「花火の試作品が、まだある」 「我慢してください!」  ここに乗り込んできた海賊だけならば、俺でもどうにかなるが、花火で見えてしまった周囲の人数はどうにもならない。  ここは、素直に降参しておくべきだろう。 「お前等が港に知らせたせいで、今日の上がりが激減した……」  今日は出航日和だったらしい。だから、分刻みでの出航を見込んでいたようだ。  しかし、俺の花火のせいで、出航が止まった。  若い男が登って来ると、俺を殴ろうとしたが、道原が間に入って代わりに殴られた。 「道原を殴ったな……」 「!!白の者か??????どうして、酒船にいる????」  俺が殴り返そうとすると、又道原が間に入った。
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