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俺は遠慮したのに、少年が殴ってきたので、俺は再び甲板に転がった。しかし、前もって殴ると言ったので、同じ方向に吹っ飛び被害は最小に留めた。
「抵抗しなければ、船は返す」
「俺は抵抗していないだろう?」
俺が言い返すと、少年が再び少し笑った。
この笑顔が、誰かに似ていると思ったら、地下社会の一柳に似ている。そう思って見ると、顔も恐ろしく綺麗だ。
「乗組員には手を出すな。積荷を確認してくる」
「はい!」
この少年は、皆からショウキと呼ばれていて、頭領のゴウバイの従兄弟にあたるらしい。
「頭領のゴウバイは、トラジャの王族で、今一番の海賊だ。でも、海賊だけではなく、商人をしている。凄い人だ」
「まあ、飲め」
俺は勝手にロープを解くと、酒樽を持ってきて、海賊の一人に盃を出した。すると、ミンドと呼ばれている、体格の良い笑い上戸が、一緒に酒を飲み始めた。
「ロープを……いつの間に解いたのですか。しっかり縛らないと……ハハハハハ。でも、又、逃げるか!ハハハハハ」
「最初から解いている。気にするな」
縛られていたが、そんなものは一分で解いている。
」それと、酒、強いな。ハハハハハハ」
「酒を飲んで酔った事はない」
だが、酒が好きだ。ここは、現実ではないかもしれないが、飲めて嬉しい。
「夏目さん、聞いてくださいよ。俺の彼女、夫が海賊では嫌とか言うのですよ。でも、俺、他に出来る事がなくて……」
「護衛をしたらいい」
このミンドは、戸村に激似している。しかも、会ったばかりの年下に、困り事を相談してくる。
「護衛ですか……」
「でも、フラれるだろうけどな」
戸村は、よく彼女に振られていた。このミンドも、ショウキに近付きたい女性の、いい踏み台になっているのだろう。
「ブッ!!」
そして、吹き出して笑ったスースーは茨木に似ていた。きっと、普段でもミンドの愚痴を聞いているのだろう。
「ミンド!初対面の人にも、振られる事を、当てられているな!!」
「うるさい!」
スースーも、酒を飲むと豪快に笑っていた。そして、ミンドに殴られそうになっても、平然としているので親しいのだろう。
そして、横ではマイペースな海賊が、俺の武器を確認していた。
「この武器の名前は何ですか?」
これは、鉄吉にいる重吾にそっくりだ。きっと、武器を真似て作りたいのだろう。
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