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まず、執事がシュリヤから離れて、替え玉と一緒にいるという事が、何かを示唆している。
「シュリヤは誘拐されている。そして、クロエは真珠を疑って探した」
「姫様!あれ程、知らない人には近付くなと言っていたのに……」
そして、中身が俺と道原になった。
「真珠は、俺が入ったという事は、潜入捜査員のようなものだ。そして、多分、権力者がスポンサーになっている、公務員といったあたりの位置付けだ」
そして、出身は地下社会に類似した場所だろう。
「では、任務の通りに姫様を探そう」
「面白がっていませんか!???」
これは夢なのだが、どうにも気になる点がある。
「俺は、十五歳あたりだな」
手足はまだ小さいが、成長の見込みはある。姫様の替え玉も、そろそろ出来なくなるだろう。
「小さいですね……」
「小さくない!」
こんなに大きくなったのは、久し振りだ。視界が高くて、手足が長いので動き易い。それに、この体はとても丁寧に鍛えられていた。
「真珠は十二歳です……姫様が小柄でしたので、年下を用意したのです」
ドア付近で声がすると、少年二人が立って俺を見ていた。
「シュリヤを探す。それでいいのか?シエルとジュノン」
「……そうです。そう言って、真珠は何かの文献を探していました」
シュリヤを探すのに、文献は必要ないだろうとジュノンが真珠に問うと、真珠は困ったように自分では無理だから呼び出すのだと言ったらしい。
「呼び出す?????」
「つまり、今、いる君を呼び出したかったようです」
それはどういう事なのかと、真珠が読んでいた本を探すと、悪魔召喚のような本だった。
「俺は悪魔か??????」
「いや、そっちではなく……こっちです」
ジュノンが、俺が持っていたカッコイイ本を取り上げると、ボロボロの花柄の本を差し出してきた。
俺としては、花柄の本で召喚されるよりも、この黒く輝き、鉄のドクロが渋く鎮座している本で呼ばれたかった。
「精霊とか妖精?????」
「それとエルフの世界です」
精霊も妖精も、エルフも俺とは関係ない。
「真珠は美人でしたので……妖精のように言われていました」
男なのに美人というのは哀しい。
「そして、真珠は頭の良い子供で、自分の立場を理解していました。だから、日々、精進していて、体術などは師範級、天才的でした」
だから、イリエはもう少し真珠が成長したら自由にして、ここでは目立つので、海外に送り出そうとしていたという。
「真珠は、この狭い国では目立ちます。だから、他の国で、普通に過ごせるようにしたいと、父はよく言っていました」
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