64人が本棚に入れています
本棚に追加
「この容姿だと目立つのか……」
真珠はシュリヤと同じく、真っ白な肌と髪で、目はアイスブルーだった。だが、これは合わせているというだけで、本当の髪の色は、少し違っている。
「髪は染めればどうにかなる。ケド、これ本当の髪の色ではないな……」
「本当の色は、水色だったと聞きます」
水色の髪というものが、存在するのだろうか。
「だが、現在は真っ白が地毛で、成長するにつれ更に白くなっていました」
確かに、全身が真っ白で、どこにも色がない。
「まあ、ジュノンも真珠の正体を知らなかったのか。それに、イリエ様も知らされていなかった」
「正体???」
そこで俺は、真珠は王でありシュリヤの父でもあるトウゴに雇われた、護衛だった可能性を教えておいた。
「真珠は、十歳くらいから、ここにいます」
「その年齢でも、裏の社会では立派な成人だよ……」
それに、真珠は年齢を誤魔化していたので、本当は俺の見立ての通りに、十五歳かそれより少し上といったあたりだろう。
「それで、姫様はいつ消えた??」
「…………それが、正確には分からないのです」
シュリヤの従兄弟である、シエルとジュノンは、妖精召喚にも動じず、真面目に信じてくれ事から、柔軟な思考の持ち主だった。だから、シュリヤが男装して学校に通う事にも、協力してしまったのだろう。
「学園は武道大会の真っ最中で、授業どころではなかった。私はシュリヤの級友ですが、シュリヤは優勝候補でずっと闘技場にいた」
「つまりは、闘技場にいたのは真珠だった」
シュリヤは剣には優れていて強かったが、武道は弱かった。それに、どちらも真珠の方が、各段上で、学園では敵う者がいない程だったという。
十五歳になれば、男女の力の差も出てくるので、シュリヤが不利になっていた事は間違いない。
「そうです。それで、真珠が優勝して、この家に帰った時には、シュリヤがいなくなっていた」
武道大会の後に祝宴があり、皆でキャンプファイヤーをしていた状態だったらしい。流石に、優勝者の真珠も抜ける事が出来ず、かつ色々な役職にあった、シエルとジュノンも家に帰れなかった。
「クロエは何をしていた?」
「基本はシュリヤ様の執事なので、真珠と一緒にいるしかなかった……」
入れ替わっていても、優勝したのはシュリヤという事になっていたので、闘技場にいたという。
「……では誰も、シュリヤには付いていなかったのか……」
「そうなります」
最初のコメントを投稿しよう!