ダイブ

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太陽は高く真上から俺を刺し、虹の色をくっきりと分けた。 湿気た空気で喉が詰まる。 道の真ん中で傘をさしている女が一人。 赤い傘 赤い服 赤い唇 「晴れたなぁ」 俺の声に女はニヤリとした。 そして向こうへ振り向き、足を一歩踏み出してふわりと飛んだ。 着地点には大きな水溜り。 傘が宙を舞う。 女は水溜りに消えた。 揺れのおさまった水面には、それを覗き込む俺と虹と太陽が、ギラギラと映り込んでいた。 蝉の声がいっせいに響いた。 End
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