Prolog

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 いじめられているのによく写真部でいられるよなと我ながら思う。  下手だと言われても、  懸命に撮った写真を誰かに破られても、  孤独でいようとも部活に行く。    攻撃的な相手に対抗する力はないけど、  写真部で居続けようという意志はあった。    それは今は亡き僕の父が、思い出を残すことができるカメラをただただ愛して、僕はその姿に憧れを抱き続けていたからだと思う。  部活終わり、身体中アザだらけで家に帰ってきた時はさすがに母も気づき、僕はいじめられていることを隠し通せなかった。 「そんな部活やめなさい!」  初めて僕の真意を知った母にそう言われてわあわあ泣かれた時はさすがに僕の心が揺らいだが、でも僕はありのままの自分でいたいと思った。  他人の評価なんてどうでもいい。  中学生生活がどしゃ降りの雨が降るような傷つき泣いてばかりの日々になろうとも、  ただ僕は「写真部の僕」でありたかった。
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