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黒い長靴がパシャパシャと歩道に溜まった水を跳ねていく。私はファミリーレストランに向かいながら、十歳の頃を思い出していた。
*
私は絵に描いたような典型的な委員長タイプで、きつく結んだ三つ編みに丸い黒淵メガネをかけて、先生の言うことを素直に聞く性格。
『向日葵が先生にチクったって』
掃除をサボった女子グループがいると打ち明けた翌週の月曜日。
『向日葵ちゃん、話したいことがあるの』
給食終わりに声をかけられた私は、彼女たちの言葉や態度に騙されていたことに気づかず、ついていった。
ついていった先は一階の理科室で、暗幕が閉められて真っ暗な理科室だった。
ドンと背中を強く押され、つまづきながら中に入った私は、一人理科室に閉じ込められてしまったのです。
暗闇になれていき周囲を確認することにした私。
暗幕のカーテンは頑丈に縫われていて、隣に続く薬品室は施錠をされている。
『誰か助けてください!!』
クスクスと笑いながら遠ざかる足音だけが聞こえた。
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