向日葵

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 ファミリーレストランに先に着き、角側の窓際の二人がけの席に座り伊野尾さんを待つ。 『向日葵、伊野尾くんと関わるってことはあぶない黒い世界に一歩近づくってことなの』  両親は私を心配して口を酸っぱくさせながら関わるなと繰り返している。それならばと私は決まってこう反論する。 『お父さん、お母さんが慈善団体で非行少年や少女を救っているんですよね?私もお父さんたちの子供ですから、見てみぬふりはできません』  NPO法人はばたきに両親はボランティアに行っている。私を助けてくれた伊野尾さんにお礼を言えなかったと後悔して、両親は彼と同じような境遇の子供たちを救うことで、お礼をした風を装っているだけ。 『いつか、お礼に行くよ』  お父さんの泳ぐ目が、お母さんの愛想笑いが行かないって示していた。
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