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重なる想い出
「あの頃が本当に懐かしいな」
そう呟いていると辿々しくウェイトレスがコーヒーを持ってきた。
「お待たせしました」
震える手でホットコーヒーを俺の前に置いた。
「ありがとう」
俺は優しく微笑んだ。緊張しているような仕草で彼女もひきつった顔で微笑んだ。
俺はそのまま口をカップにつけコーヒーを啜った。温かいコーヒーが喉を流れていく。
ちょっとした出会いだった。少しだけ窓ガラスを伝う滴を見ながら俺は思い出していた。
「何年前だろう……? あれは……」
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