淋しさ

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淋しさ

 それから俺は彼女と連絡を取り合い何度かデートを重ね、そして付き合うことにした。彼女は純粋で優しくこのまま結婚してもいいかなと思うほどの人柄だった。ただ時折、昔のことを思い出しているかのような仕草をする時があった。  俺が初めて付き合う男性だということだったのだけれども、聞いてみると高校時代に恋はしたことがあるが片想いで済ませたと彼女は言った。奥手な自分が邪魔をすると言う。思えば恋じゃなかったのかもしれない、なんて笑って誤魔化していた。本当の所は分からないが、そうやってぼんやりとしている時は何を思っているのだろうと思う時がある。しかし、彼女は俺と対面で話している時は絶対にそんな顔をしなかった。  ある日、不思議に思い聞いたことがあった。二人で入ったカフェで俺は席を外し、戻って来ると彼女は頬杖をつき溜め息を吐いていた。後ろから近づく。 「どうしたんだい? 何か考え事?」 「わっ!び、吃驚(びっくり)したぁ。な、何!? そ、そんなことないよ。ただぼんやりしながら、あ、あなたを待っていただけ」  彼女は分かりやすかった。緊張している時や気まずい時、考え事をしていると吃りやすい。そして、へへへと笑って誤魔化す。真面目な彼女だから、彼女に限って浮気などは考えにくい。だからこそ、ぼんやりしている時は彼女が何を考えているか分かりづらかった。きっとそれは、これからも分かることはないような気がした。
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