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「おい、起きろ。」
俺は、全く起きる気配のない晶の身体を揺すった。
「んー……今何時?」
「9時。」
「起きないと。」
晶は欠伸をしながら、起き上がった。
「おはよ、真斗。」
「おはよ。」
すると、晶の顔が俺に近づいてきた。
避ける間もなく、晶の唇が俺の頬に触れた。
「昨日のお返し。」
晶は悪戯な笑みを浮かべながら、俺を見つめている。
寝起きの晶は無防備で、あざとさもいつもの倍だ。
「そんな暇あったら、シャワー浴びてこいよ。」
「真斗、つまんない。」
「お褒めの言葉をどうも。」
「褒めてないし。」
「だから、服は脱衣所で脱げって。って、聞いてないし。」
晶はいつものように、服を脱ぎながら、シャワーを浴びに行った。
俺は彼が脱ぎ捨てた服を、1枚ずつ回収した。
そして、不意に思った。
俺は晶のなんなのだろう?
世話を焼いてくれる友達だろうか?
俺は晶にとってのいい人になりたい訳じゃない。
だが、それを本人に言う勇気は俺にはない。
結局、今の関係を壊すのが怖い。
本当にずるいのは、俺の方だ。
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