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「よろしくというのも、変か。これから死のうとしてるのに...。あ、じゃあ、次は三枝さんの番だよ」
「うん...」
「君から提案したんだから、話してくれるよね。笑ったり、批判したりしないからさ」
「わかった...。わたしね、実は高校の教師とつきあってたの。数学の先生で。よく補習を受けてたの。それで、その、わたしが先生のこと、好きになって。告ったんだ。結構勇気がいたんだから。もう、今思い出しても顔から火が出るほど恥ずかしかったんだから」
「三枝さんレベルだったら、大概の人はOKするんじゃないか?」
「うん。片桐さん、よくわかってるね。でさ、先生とつきあうようになってさ。毎日楽しかったな。わたしは帰宅部だし、先生は部活の顧問でもなかったから、わたしが先生の部屋に直行して待ってたんだ。新婚さんて、こんな気持ちなんだってわかった気がして。舞い上がってたなあ。先生はわたしが卒業したらいっしょになろうなんて約束してくれて。わたし、バカだから、信じちゃって。あああ、わたしって純粋だったんだなあ。だいたい展開はわかるでしょう?」
「わかった。その先生はつきあっていた彼女がいたんだね」
「まだつきあってるだけならよかった。でもさ、その彼女、妊娠してて。責任をとって結婚するって言いだして、今までの話はなかったことにしてほしいって...。わたし、清水の舞台から落ちた気分だったよ」
「三枝さん、言葉選びが間違ってる。清水の舞台から落ちるは、意味が違うよ」
「あ、そっか」
「でも、三枝さんなら、同級生とつきあうこともできるだろう」
「わたしは年上好きなの。まだ、話には続きがあるの。わたしさ、ある時から全然、生理が来なくて、調べたら、先生の子どもを身ごもってた。青天の霹靂だよー。これ、意味合ってる?」
良一は頷いた。
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