最終話

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「レンレン君と飲めなかったら意味ないの!」 「……もう目的が変わってるじゃないですか……」  レンレンは、げんなりと言う。  会話の意味は分からないが二人のやり取りがあまりに真剣で可愛らしいので周りから鈴を鳴らすような笑い声が漏れてくる。  レンレンは、恥ずかしさに顔を真っ赤に染めるが、オミオツケさんは嬉しそうに微笑み、レンレンを見る。 「私をこんなにしたのはレンレン君なんだからね」  冷たかったオミオツケさんの目が柔らかく細まり、愛し気にレンレンを見る。 「ちゃんと責任取ってよね」  そう言って微笑むオミオツケさんはこの世の何よりも可愛いらしくレンレンに映った。  そんな顔をされたらレンレンが言えるのは一つしかない。 「はいっ」  レンレンは、和やかに微笑む。  二人の手が一緒に動き、お椀がゆっくりとオミオツケさんの唇にくっつく。  温かなみそ汁がオミオツケさんの口を通り、喉が小さく鳴る。  お椀が離れる。 「お味はどうですか?」  レンレンの質問にオミオツケさんは大きな微笑を浮かべる。 「美味しい」  みそ汁の甘い匂いと温もりが二人の周りを愛おしく包み込んだ。
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