第十一話

2/6
前へ
/174ページ
次へ
「アップルティーか……と思ったよ」 「それは……カフェの楽しみにしようかと……。オミオツケさんはハチミツレモンティーなんですね」 「うんっ……やっぱりエガオにちなんで……」  エガオが笑う時のエピソードに蜂蜜を取りに行く件りがあり、そのことを思い出して買ったのだが……。 「私もコラボカフェで頼めば良かったかな……」 「いや、気分高めるのにはいいのでは……」 「ポップコーン食べる?」 「はいっ」 「塩でいいの?キャラメルは?」 「甘いの苦手なので……」 「……」 「……」  段々と会話が萎んでいき、いつしか沈黙が訪れる。  何か話したいのに……言葉が出ない。  オミオツケさんは、きゅっとスカートの端を握って焦るも結局、言葉が見つからないまま劇場は暗転し、新作映画の宣伝が始まる。  好きなゲームの実写化であったり、人気ドラマの映画化であったり、海外の3Dアニメーションであったりと興味を唆られる内容ばかりであったがどれも頭に入らない。  意識は全て隣に座るレンレンにいってしまう。 (どうしちゃったんだろう……私……?)  この数日間、絶対におかしい。  こんなこと今までなかったのに……。
/174ページ

最初のコメントを投稿しよう!

6人が本棚に入れています
本棚に追加