第十一話

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 ただ、気が付いたら二人の顔はゆっくりと近づいていった。  スクリーンのエガオとカゲロウのように。  二人の視線が合わさる。  互い互いの顔しか見えなくなる。   "これが愛だと貴方が教えてくれた……"    あのフレーズが再び流れる。  挿入歌と歓声と悲鳴に合わせて心臓が鳴り響く。  そして……二人の唇が重なり合う。  ゆっくりと、優しく、互いを確かめ合うように。  挿入歌が終わりを迎える。  歓声と悲鳴が潮のように引いていく。  スクリーンのエガオとカゲロウは、唇を離し、再びストーリーの中に入っていく。  それでも二人の、オミオツケさんとレンレンの唇が離れることはなかった。
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