第十三話

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第十三話

 オミオツケさんの言葉にレンレンの顔が固まる。 「ずっと気になってたんだ」  オミオツケさんは、アップルティーの表面を見る。 「学生が普通、食堂で働くなんてあり得ないでしょう?しかも授業の中抜けまでして。うちの高校は確かに緩いけど、こんなこと繰り返してたら内申にも響いてくると思うし……」 「俺……管理栄養士目指してるんで。内申って意味じゃむしろ実績を上げてると思うんですけど……」 「だったら放課後にそう言った関連のバイトをしてもいいわけじゃない?何も学校でやらなくても……」  ずっと気になっていた。  彼が何故、学校という限られた世界でこんなことをしているのか、と。  彼は、頭がいい。  同じ高校生の自分が言うのも烏滸(おこ)がましいが料理の腕や才能だって凄い。  自分のような隠れてオタクをやってるような冷めたガリ勉とは違う。  本気で管理栄養士を目指すなら、栄養学に力を入れてる大学や企業を目指した勉強なり、経験を積めるような料亭やレストランでバイトした方がよっぽど内申に良いはずだし、彼だってそんなこと分かっているはずだ。
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