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オミオツケさんは、小さく口を開く。
「それじゃあ、レンレン君が協力してくれてるのは妹のため?」
オミオツケさんの言葉にレンレンは目を大きく広げる。
「私のせいで妹が馬鹿にされるのが、虐められるかもしれないのが理不尽だから助けてくれるの?」
それは本当に嬉しいことだ。
会ったこともない大切な妹のためにこんなに親身に考えて、動いてくれるなんてこんなにありがたい話しはない。
感謝しかない。
でも……。
オミオツケさんは、唇を小さく噛んでレンレンを見る。
レンレンは、困ったように眉根を寄せる。
「そうですね。妹さんのためです」
レンレンは、小さな声で言う。
なんでだろう?
嬉しいことのはずなのになんでこんなに胸が痛くなるんだろう?
彼は、ちゃんと望んでいた言葉を言ってくれたはずなのに。
オミオツケさんは、目頭が痛く、熱くなるのを感じた。
「ありがとう……」
オミオツケさんは、小さな声で礼を言う。
「これからも妹の為によろしくね」
「そしてオミオツケさんの為です」
二人の声が一言一句ズレることなく被さる。
しかし、オミオツケさんの耳にはしっかりと聞こえた。
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