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スポーツ女子は、レンレンと目を合わせることが出来ず、唇を尖らせ、両手の指をモジモジと絡めながら言う。
「美味しかったよ」
スポーツ女子もまた、文系女子ほどではないが重い小麦粉アレルギーであった。成長とともに多少なら摂取しても大丈夫にはなったがそれでも間違えると酷い痒みと呼吸苦に襲われる。
そんな彼女にも食べたいものがあった。
それが小麦粉の温床とも言うべき食べ物、ラーメンだった。
お店で友達や他のお客さんが美味しそうに食べるのをいつも羨ましく見ていた。
いつか……いつか食べたい。
そんな叶うことのない夢をずっと見ていた。
そんな時に彼が作ってくれたのだ。
スポーツ女子でも食べることの出来るラーメンを。
「ただ、米粉で作った麺を豚骨スープに落としただけですよ。軽くて物足りなかったんじゃ……?」
レンレンは、顔を顰めて言う。
スポーツ女子に米粉麺で作ったラーメンを出した時もレンレンは今のようにこんな物しか作れなくてごめんと謝った。
スポーツ女子は。あの時と同じように首をブンブンと横に振る。
「最高……だったよ」
スポーツ女子は、恥ずかしそうに言う。
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