第十四話

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 スポーツ女子のきつい口調に文系女子は顔を顰めて「言い過ぎ」と嗜める。 「でも、実際かなり重いアレルギーらしいよ。私達も重い方だけど比較にならないくらい……」  文系女子は、眼鏡の奥の目を下に落とす。 「私達は、何だかんだと口に含まなきゃ重傷にはならないけどあいつの場合、肌に触れるだけで呼吸困難になるみたいだし……」  触れただけ……。  オミオツケさんの脳裏に昨日の光景が蘇る。  みそ汁からオミオツケさんを守ろうとして倒れ込んだレンレンの顔の上に落ちたフレンチトーストのお皿。  その表面にはたっぷりと付いていたはすだ。  卵と蜂蜜、そして牛乳で作った液が……。  オミオツケさんの表情が青ざめ、胃の奥から冷たいものが込み上げてくる。 「で……でも……」  オミオツケさんは、震える目でスポーツ女子を見る。 「貴方……彼に上げてなかった?クッキー?」  オミオツケさんの言葉にスポーツ女子は顔を赤らめる。 「み……見てたの?」  スポーツ女子は、動揺に声を震わせる。  オミオツケさんは、小さく頷く。 「アレは……メレンゲクッキーだよ」 「メレンゲ?」
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