第十五話

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第十五話

 引きこもってしまった息子を心配した両親は少しでも気晴らしになればとレンレンを旅行に連れて行った。  遊園地で遊び、海を泳ぎ、大好きなアニメの聖地を巡るなど、思いつく限りのレンレンの好きな所を回ったと言う。最後は予め予約しておいた乳製品と縁遠い和食のお店 に行き、食事をして帰ろうとした時、トラブルが起きた。  店側の手違いで予約が取れていなかったのだ。  しかも満席。  当然、空くのを待っていたら帰りの新幹線にも間に合わない。  普段は怒らない両親が憤慨にレンレンが驚いていた時、「よかったらうちに来ませんか?」と声をかけられた。  四十過ぎの綺麗な女性だった。  女性は、近くの農家の人でお店に野菜を下ろしており、そこで小さなレストランもやってると言った。  普段はこんな出しゃばったことはしないがレンレン家族とお世話になっているお店がもめてるのを見て思わず声をかけてしまったと言う。  お店側は思わぬ助け舟に喜び、送迎と食べた食事の負担をさせてもらうと言った。  しかし、レンレンのアレルギーのことがあるので当然、両親は渋り、申し出はありがたいけどそちらに行くことは出来ないと告げた。
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