第十五話

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 しかし、事情を聞いた女性はにっこりと微笑み「だったら尚のことうちにいらしてくださいな!」と半ば強引に自分のレストランに連れてきた。  レストランは、地方の農家がやってるとは思えないくらい小洒落ていて地元の人だけでなく、わざわざ車で遠くから足を運ぶ人もいる知る人ぞ知る人気店のようだった。 「この子のメニュー、私が決めて良いですか?気に入らなきゃ料金はいらないので」  それだけ言うと女性は両親の意見も聞かずに厨房へと引っ込んだ。その後、慌ててアルバイトと思われる若い男の子が両親の注文を聞きに来た。  両親は不安げに厨房を見て、レンレンは何が起きたのかまったく分からず呆然とした。  それからしばらくして女性が一つの皿をレンレンの前に置く。  レンレンは、目を大きく見開く。  目の前に置かれたのはアニメでしか見たことのないメープルシロップがたっぷりかかったパンケーキだった。  レンレンは、初めて見たパンケーキに大きく目を大きく輝かせる。  メープルシロップのかかったこんがりと焼け目のついたパンケーキは何ものにも変え難いくらい煌びやかで、美しくて、そして美味しそうだった。  両親は激怒した。
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