第十五話

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 女性は、優しく微笑む。 「凄く美味しい!」  レンレンは、食べた。  人生で初めて料理をがっついた。  それ程までにパンケーキは甘く、柔らかく、そして美味しかった。  一欠片も残さず食べ終えてもレンレンの体には蕁麻疹も出なければ呼吸困難に陥ることもなかった。  両親は、驚きすぎて何も言えない。 「オーツミルクで作ったパンケーキです」  女性は、優しい声で種明かしをする。  オーツミルクとは、オーツ麦と呼ばれる麦を砕いて濾過して作った植物性のミルクだと言う。 「これなら乳製品アレルギーの人でも美味しく食べれます」  女性の発したその言葉は、レンレンに取ってはまさに神の掲示に等しかった。  生まれた時から串刺しにされ、身じろぎすることすら許さなかった(アレルギー)が音を立てて緩んだ気がした。  両親は、涙を流してレンレンを見て、女性に先程まで怒りを飛ばしていたとは思えないほどに感謝の言葉を述べた。  しかし、唐突に女性の顔から笑みが消える。
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