第十五話

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 そのお陰でレンレンの身体は鎖が解かれたように成長した。身長が竹のように伸び、お肉がカンナで削られたように落ちて男の子らしい逞しい身体つきになった。引きこもっていたせいで人と接するのが苦手で気弱なのは変わらないが学校にも無事に戻ることが出来、友達とも遊ぶことが出来るようになった。  そしてレンレンは明確な夢を持つことが出来た。  自分が女性と出会って人生が変わったように自分も同じように食べたいのに食べれなくて我慢し、悲観している人達に料理を届けたい。  人生に少しでも光がさせるようにしたい。 「そう思ってレンレン君は始めたんだよ。レンレン定食を」  オミオツケさんは、目と唇が震えるのを止めることが出来なかった。  レンレンがあんなに一生懸命にみそ汁が食べられるように付き合ってくれたのはその為だったのだ。  誰よりも食べたいのに食べれない苦しみを知っているからこそレンレンはあんなにも考え、あんなにも動いてくれたのだ。  オミオツケさんが楽しく、家族と、友達と、そして自分自身のためにみそ汁が飲めるようにと願って。  それなのに……それなのに……。  オミオツケさんの目から涙が溢れる。
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