第十五話

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 突然、泣き出したオミオツケさんに二人は驚く。  オミオツケさんは、両手で顔を覆って泣いた。 「私……彼の夢を……命を奪っちゃうところだった」  自分が映画になんて誘わなければ……。  コラボカフェになんて誘わなければ……。  確認もしないでみそ汁に触れなければ……。  くだらない嫉妬なんてしなければ……。  それにきっと彼は……。 「美織ちゃんは悪くないよ」  文系女子は慌てて声をかける。 「そうだよ。知らなかったんだから仕方ない」  スポーツ女子もフォローに入る。 「レンレンも怒ってなんかないし、と、いうか死んでないから、な」  二人は、優しく声をかける。  しかし、オミオツケさんの耳には届かない。  その後、どうやってクラスに戻ったのかも、授業を受けたのかも、生徒会の活動に参加したのかも覚えていない。  しかし、自宅に戻り、自室のベッドに横になってオミオツケさんは決めた。  もうレンレンと会わない、と。
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