第十六話

2/6
前へ
/174ページ
次へ
 それに男としての責任……ひょっとしてあのことを話したのだろうか?  そういえば彼女には自分の体質のことについて話してなかった。隠していたつもりはなかったが妹の為に一生懸命、みそ汁を飲もうとしている彼女を見て、自分の経緯なんて言う雑味を入れる必要はないか、と思ってしまったのだ。  きっとさぞ驚いて、なんで言わなかったのかと怒っているかもしれない。  その証拠に気になることのもう一点として救急車で運ばれて、退院して以降、オミオツケさんからの連絡は来なかった。  心配かけてすいません、と送っても返信すらない。  きっと怒ってるのだ。  やばいなあとレンレンは頭を掻く。  しかし、自分もただ休んでいたのではない。  その間にオミオツケさんがみそ汁を飲む方法が一つ思いついたのだ。  もし、これがうまくいけばオミオツケさんはきっと妹と一緒にみそ汁が飲めるはずだ。  そう意気込んでレンレンは1週間ぶりに登校したのだが……。 「オミオツケさーん!」  昼休みの終わり、食堂の片付けを終えてから教室に戻ろうとしたところで彼女の姿を見つけた。
/174ページ

最初のコメントを投稿しよう!

6人が本棚に入れています
本棚に追加