第十六話

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 一週間振りに見たオミオツケさんは、とても小さく、愛らしく、そして輝いて見えた。  レンレンは、嬉しさとは違う感情が膨れ上がりそうになるのを抑えながらオミオツケさんに駆け寄る。  寝込んで動かさなかった身体は鉛のように重かったがそれでもオミオツケさんの元に早く行きたい一心で走る。 「こんにちはオミオツケさん!」  レンレンは、息を切らしながらも和やかな笑みを浮かべる。  オミオツケさんは、いつものように冷めた目でレンレンを見る。  いつものように冷めた目。  そのはずなのにレンレンはどこか違和感を感じた。 「こんにちは。レンレン君」  彼女は、抑揚のない声で挨拶してくる。  出会った頃のような冷めた声で。  いや、出会った頃よりも冷たく、そして痛々しい声で。  その冷たさに当てられてレンレンは胸が痛むのを感じた。 「オミオツケ……さん?」  レンレンは、戸惑いながらも彼女の名を呼ぶ。 「何か用?もうすぐ授業が始まるわよ」  しかし、オミオツケさんの目と声は冷たい。 「え……あ……あの……」
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