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振り返らず、冷たい声で別れを告げるとオミオツケさんはゆっくりと歩き出す。
「……待ってますよ」
……えっ?
オミオツケさんは、足を止める。
しかし、振り返らない。
レンレンは、和やかな笑みをオミオツケさんの小さな背中に向ける。
「今日の放課後……食堂で待ってますね。さっきも言ったけど試したいことがあるんで……これならきっとオミオツケさんもみそ汁が飲めるようになるはずです」
レンレンは、いつもと変わらない和やかな笑みと優しい声でオミオツケさんに話しかける。
しかし、オミオツケさんは振り返らない。
小さく肩を振るわせるだけだ。
「勝手に……」
オミオツケさんは、冷めた声を絞り出すように言う。
「勝手にすれば!私は行かないから!」
千切れるように声を上げ、オミオツケさんは足早に去っていく。
レンレンは、ただその背中を見続けた。
授業の始まる予鈴が寂しく鳴り響いた。
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