6人が本棚に入れています
本棚に追加
/174ページ
だからこそ、聞いたのだが……。
「いらないです」
彼女は、冷めた声できっぱりと言う。
「時間がないので早めにお願いします。外で待ってますので」
そう言われてレンレンは、時計を見ると十二時四十分を過ぎようとしていた。二十分もすれば昼休みも終わってしまう。
なるほど。
彼女が苛立っていたのはもう時間がないのに注文を受ける人がいなかったからか。
この時間になると生徒達も少なくなり、おばちゃん達も片付けに入り始めるから声を掛けても聞こえない時がある。その為、遅れてきた生徒は昼休みの終わるギリギリまで全てレンレンが対応してるのだ。
「美織ちゃん、今からご飯なの?」
文系女子が声を掛ける。
どうやら彼女のことを知ってるらしい。
「お弁当は……?」
「忘れた……」
彼女は、恥ずかしそうに俯く。
なるほど。普段はお弁当持ちだから知らなかったのか。
「また、生徒会の仕事?」
スポーツ女子も声を掛ける。
どうやら彼女も知ってるらしい。
「そうなのよ」
彼女は、二人に目を向けて小さく笑みを浮かべる。
心なしか少し苛立ちが薄まったように見える。
最初のコメントを投稿しよう!