第十七話

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 一週間前の全身に蕁麻疹が出て呼吸困難に陥ったレンレンの苦しむ様が脳裏に蘇る。 (いやだ……いやだ……レンレン君)  もう私は側にいないのに。  なんでこんなことが起きるの?  神様……神様……。  オミオツケさんは、動揺しながらいもしない神様に何度も呼びかける。 『まさか……まだ学校にいるなんてことある訳ないし……』  学校⁉︎  オミオツケさんの脳裏に電気の付いた食堂が浮かぶ。    今日の放課後……食堂で待ってますね。  頭の中のレンレンが和やかな笑みを浮かべて言う。 『一体どこに……』  オミオツケさんは、スポーツ女子の言葉を最後まで聞かなかった。スマホを叩きつけるように電話を切り、制服姿のまま部屋を飛び出し、両親にも妹にも何も言わないまま家を出るとそのまま一目散に走り出す。  何回も立ち止まり、息を切らしながらオミオツケさんが辿り着いたのは暗闇に包まれた高校だった。  普段は、固く閉ざされた校門は小さく開いており、その奥に見える食堂にはうっすらと灯りが付いていた。  オミオツケさんは、校門を開き、校庭を横切り、食堂の扉の前に立つ。  扉の隙間から灯りが漏れる。
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