第十七話

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 オミオツケさんは、小さく唾を飲み込み、そっと扉を開いた。  レンレンがいた。  いつもの二人席に座って気持ち良さそうにうたた寝をしているレンレンの姿がそこにあった。  オミオツケさんは、安堵のあまり全身が崩れそうになり、扉の取手に掴まった。  ガチャンっと取っ手の弾ける音が静かな食堂に響く。  その音にレンレンの目がうっすらと開く。  寝ぼけたレンレンの目と安堵に涙の膜を浮かべるオミオツケさんの目が重なる。  レンレンの目が一瞬、大きく見開き……そして和やかな笑みへと変わる。 「こんにちは。オミオツケさん」  レンレンは、いつもと変わらない優しい声でオミオツケさんに話しかけた。
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