6人が本棚に入れています
本棚に追加
/174ページ
「今週中に配布しないといけないプリントがあるのにまるで進んでないから……」
「大変だねえ。副会長は」
文系女子が同情するように呟く。
どうやら彼女は生徒会の副会長らしい。
二人が知っていてタメ口と言うことは同じ二年生。
二年生……副会長……美織……。
レンレンの頭がぱっと閃く。
「オミオツケさん」
レンレンがそう口にした瞬間、彼女の冷めた目が大きく見開く。
「レンレン君!」
文系女子がレンレンのエプロンを引っ張る。
レンレンは、何事か?と振り返って文系女子を見る。
文系女子は、青ざめた表情で怯えた兎のように目を震わせている。
「早く謝って!」
スポーツ女子も表情を青ざめ、声を震わせる。
レンレンは、何のことだか分からないままオミオツケさんと呼んだ彼女に目を戻す、と。
彼女は、冷めた目のまま頬を真っ赤に染めてレンレンを睨んでいた。
レンレンは、思わず怯んでしまう。
「私の……」
彼女の口から低く震える声が漏れる。
「私の名前は……結尾美織です」
彼女は、突き刺すようにレンレンを睨む。
「オミオツケではありません」
最初のコメントを投稿しよう!