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みそ汁のエガオの身体が大きく波打ち、茶色の雫が飛び散る。
飛び散った雫は空中で静止し、形を変えていく。
星屑のカッピーに、キノコに、魚に、花に、猫に、犬にそしてカゲロウと鬼へと変貌する、
みそ汁の造形物たちは、動揺するオミオツケさんに呼応するように宙をメリーゴーランドのように飛び回る。
犬と猫は公園のように駆け回り、魚は荒波を泳ぐように飛び跳ね、キノコと花は種を飛ばすようにその身を分けて分裂し、エガオとカゲロウは小説さながらに共闘して鬼に立ち向かう。
今まで見たことのないみそ汁の狂乱にオミオツケさんは狼狽し、どうしたらよいか分からなくなる。
そんなオミオツケさんの手をレンレンが優しく握りしめる。
「大丈夫です。オミオツケさん……」
レンレンの優しい声。
オミオツケさんは、震える目をレンレンに向ける。
これだけの狂乱と狂宴の中だと言うのにレンレンは変わらずに和やかな笑みを浮かべている。
「オミオツケさんなら……出来ます」
オミオツケさんなら……出来る。
その声と笑みはどこまでも優しくて、どこまでもオミオツケさんの心に染み込んでいった。
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