第十九話

8/9
前へ
/174ページ
次へ
 魚とキノコと花の形が崩れ、吸い込まれるようにお椀の中に入っていく。 「もうオミオツケさんのことしか考えられないくらい、いなくなるなんて考えられないくらい好きです」  星屑のカッピーが飛び跳ねながらお椀の中に飛び込む。 「オミオツケさんは……?」 「わ……私……」  オミオツケさんの声が震える。 「私も好き……」  オミオツケさんは、絞り出すように言う。  (オーガ)の顔が優しく崩れ、そのままお椀の中に飛び込んでいく。 「私もレンレン君のことが好き……」  オミオツケさんは、小さな声で、しかしはっきりと言う。 「好き……大好き……だから」  オミオツケさんの目から涙が流れる。  エガオとカゲロウが嬉しそうに互いの顔を見合わす。 「お願い……」  エガオとカゲロウは、そっと互いの身体を抱きしめ合う。 「ずっと一緒にいて」  エガオとカゲロウがお椀の中に飛び込む。  ワカメと豆腐、長ネギの美しいみそ汁がお椀に浮かぶ。  レンレンは、みそ汁で満たされたお椀を見て優しく微笑む。 「はいっ」  レンレン、オミオツケさんの手を添えたままゆっくりと持ち上げる。 「ずっと……一緒にいましょう」
/174ページ

最初のコメントを投稿しよう!

6人が本棚に入れています
本棚に追加