第十九話

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 レンレンは、優しく微笑む。  オミオツケさんの涙に濡れた顔に歓喜が浮かぶ。 「……はいっ」  オミオツケさんの小さな唇にお椀が触れる。  熱いみそ汁がゆっくりと流れていく。  唇の端から汁が溢れ、喉が小さく鳴る。  お椀がゆっくり離れる。  レンレンの手が優しく、強くオミオツケさんの手を握る。 「お味はいかがでした?」  レンレンは、和やかに微笑む。 「美味しい」  オミオツケさんは、嬉しそうに微笑んだ。  そしてそのまま二人は立ち上がり、唇を重ねあった。  みそ汁の甘い味と温もりが二人の中に広がった。
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