最終話

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最終話

 一緒に飲めばいいのではないか?  血が通わなくなってしまったのではないかと勘違いしてしまいそうなくらいぼやけたレンレンの頭にそんな考えが浮かんだ。  アナフィラキシーショックの後遺症で酸素と点滴を繋がれて病院のベッドに横になっていた時、頭に浮かんだのはオミオツケさんのことばかりだった。  初めて会ったの頃のイメージ通りのクールで圧の強いオミオツケさん。  つっけんどんにしたながらもこちらに気を使うオミオツケさん。  ゲームとラノベが好きとバレてこっちが恥ずかしくなるくらい動揺するオミオツケさん。  みそ汁が飲めるように付き合うと告げた時に嬉しそうに笑うオミオツケさん。  そして初めてキスをした時の可愛らしく、輝いていたオミオツケさん。  医師と看護師が診察に来た時も、父親が仕事帰りにお見舞いに来た時も、仕事を休んで付き添ってくれている母親に具合について聞かれてる時も、ようやく点滴が外れて柔食を食べることを許された時も頭に浮かぶのはオミオツケさんのことばかり。  いい加減重いな、と自分自身で呆れながら母親に手を添えられながら震える手で離乳食のような薄いみそ汁を飲もうとした時だ。
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