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彼女は、冷たく、強く、はっきりと、叩き潰すようにレンレンに向かって声を放つ。
その凍えるような冷たさと迫力にレンレンは思わずよろけて尻をテーブルにぶつける。
彼女は、ふうっと息を大きく吐く。
赤く染まった頬が鎮まり、目から険が消える。
「外で待ってますので手早くお願いしますね」
そう言って彼女は、踵を返して食堂の外に出た。
レンレンは、思わず大きく息を吐く。
背中が脂汗でぐっしょりと濡れているのが分かる。
「大丈夫?」
スポーツ女子が立ち上がって心配そうにレンレンを見る。
「美織ちゃんって怒ると怖いからね」
文系女子がらぶるっと身体を震わせる。
「さすが副会長。すっごい迫力……」
「俺……何か怒らせるようなことしました?」
レンレンは、恐る恐る二人に訊く。
何が彼女の逆鱗に触れたのかまるで想像が出来ない。
少なくてもあの短い時間の間で彼女を怒らせるような行動も言動もしてないはずだ。
しかし、スポーツ女子と文芸女子は、お互いの顔を見合わせて、はあっと大きくため息を吐く。
「オミオツケ……」
文系女子は、小さな声でぽそっと言う。
「あの子をそう呼んだからよ」
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